車のエンジン警告灯が点灯する瞬間を想像してください。できる限り早急に信頼できる修理工場に車を持ち込み、原因を突き止めて修理方法を決めると思います。このような継続的なメンテナンスを施すことで、エンジンやその他の機械システムに発生する故障を回避できます。そして、教会のサウンドシステムにも同じことが言えます。
サウンドシステムには定期的な目視検査が必要です。PAシステムの設置方法は、壁などの建築構造物に取り付けるか、天井に付いた装置から吊り下げるかになります。その支えとなる部分はすべて、腐食のような劣化がないか定期的に検査する必要があります。こうした予防的な調査は主要なPAシステムメーカーが推奨しているもので、Bose Professionalでも、ShowMatchアレイスピーカーとArenaMatchアレイスピーカーの取扱説明書に記載しています。
このようなメンテナンスをしていても、スピーカーやアンプの壊れた部品を交換するなど、時間の経過とともにサウンドシステムのコンポーネントを交換することも出てくるでしょう。ただし、定期的なシステムの修理にはデメリットがあります。たとえば、古いシステムに使われている部品がもう手に入らない場合、新しい部品は古いシステムに使用できないことがあります。さらに、多くの装置と同じように、近年、システムを使用できる寿命が短くなっています。その大きな要因には、高温での使用や使用頻度の増加などがあります。講堂を音楽や演劇のパフォーマンス空間として使用する教会が増えているためです。
PAシステムに起きている近年の進化により、将来的に対処が必要になるメンテナンスの課題が簡単になっています。近年、コラム式アレイスピーカーに人気が集まっていますが、その大きな理由は、複数のスピーカーを単一のユニットに組み合わせることで、コストの削減(コラム式のパワードスピーカー内にアンプが組み込まれているため必要なアンプの数が減少)と、保全要件の緩和につながるからです。
たとえば、Bose ProfessionalのPanaray MSA12Xはデジタル制御によるビームステアリングが可能なスピーカーで、好みの方向にサウンドを届けます。このスピーカーはスピーカー、アンプ、DSP処理が単一のパッケージに密閉されたユニットと言えます。こうしたすべての要素を統一感のあるユニットに統合することで、長期的なメンテナンスの必要性とコストを大幅に減らすことができます。また、アンプも進化しています。Bose ProfessionalのPowerSpace 4300+のような最新のアンプコントローラーは、単なる物理的な電力変換ユニットではなく、ルーティング、レベル制御、ディレイ、リミッター、温度監視などの機能を実装しています。