しかも、大人数の参加に対応する拡張性も同時に迫られることとなりました。かつては数か所のオフィスからの数人の参加者をサポートできれば十分でしたが、現在ではZoom、Microsoft Teams、Google Hangoutsなどのオンラインプラットフォーム上で、複数の遠隔地から十数人以上の参加者をサポートしなければなりません。このような予期せぬビデオ会議需要の急増により、
ITチームはビデオ会議システムの導入だけでなく同時に拡張も迫られることになりました。実際、Zoomだけで見ても、2019年に1,000万人だった1日あたりのユーザー数が2020年4月には3億人に増加しています。
簡単に言えば、拡張性とはさまざまな数の参加者や同時に通信できるエンドポイントの数をサポートする能力のことです。具体的には、例えば同じプラットフォームで、午前中は2拠点だけをつなぐ会議、午後は数十人がリモート参加する会議があっても双方に対応できる、ということです。さらに、ビデオ会議システムは、大型LEDビデオウォールからiPhoneまで、同じ通話であらゆるデバイスに対応できる必要があります。
Zoomのソフトウェアが2013年に登場し、Microsoft Teamsアプリは2017年に公開されたばかりですが、ビデオ会議がこの10年で「高額で技術的に難易度の高いモデル」から「誰でも使えるアプリベースのモデル」に移行したことで、今ではより多くの企業がビデオ会議を利用するようになりました。
そのメリットは明確で、例えばWEB会議導入により、出張費を大幅に削減し、より効率的で費用対効果の高いエンドユーザートレーニングを実現し、企業の環境に対する持続可能性指数を向上させることができました。パンデミックを機にビデオ会議を介したリモートコミュニケーションが普及したことで、こうした例をはじめとするさまざまな副次的メリットが改めて注目されることとなったのです。
米国連邦通信委員会は、ブロードバンドの定義を下りは最低25 Mbps以上、上りは最低3 Mbps以上と定めています。CableLabsは、ビデオ会議で5人までの参加者をサポートするのであれば、この値で十分であるとしています。リアルタイムで対話する場合は、レイテンシーは200ミリ秒以内で可能な限りリアルタイムに近いことが望ましいとされています。
会議の規模が大きくなると、ハッキングなどのオンライン攻撃に対する脆弱性も高まります。IT管理者は、自社の会議プラットフォームの全ユーザーが、そのプラットフォームやエンドポイント(ディスプレイやスマホなど)のソフトウェアが最新バージョンであることを確認することでこうした問題を防ぐことができます。アプリメーカーもハッキング問題に敏感に対応しており、脆弱性が発覚すると即座に修正し頻繁にアップデートを提供しています。
- 参加者全員にパスワード入力を求める。
- 画面共有オプションを管理する。たとえば、ZoomやGoogle Meetなどでは画面共有設定を「Host Only(ホストのみ)」に変更できます。
- 個人用デバイスには、ビデオ会議で二段階認証を使用する。
- アプリベースのプラットフォームを使用する際、参加者に、デスクトップアプリではなく、Webブラウザーからの参加を求める。ブラウザーのセキュリティ機能は頻繁に更新され、アプリで求められるものと同じユーザー許可を必要としません。またアプリによっては、ソフト自体をローカルへインストールすることなく、ユーザーが会議へのリンクを作成し共有できるものもあります。
ここ10年間で、独立した専用会議システムからアプリベースの会議プラットフォームへ移行が進んだことで、会議をより低予算で行えるようになりました。また、ノートPCやスマホ、タブレットなど、ユーザーのデバイスがインフラとして使えるようになったこともコスト削減の要因の一つとなっています。会議システムのハードウェアコストは、100ドルのWebカメラなどデバイス単体から会議室に統合する数万ドルの高性能システムまでさまざまです。また、ランニングコストの面では、ブロードバンドやソフトウェア/アプリのライセンス料があります。コストは組織に必要な拡張の度合いに応じて異なります。つまり、ビデオ会議の参加者の人数が多いほどコストは高くなります。
最近ではシステムのソフト・ハードウェアはリースや購入前レンタルなど「サービス」形態での販売も増えており、これを利用することでコストを削減することもできます。購入前に機器の使用年数を考慮して、5年~10年所有した場合にかかる総コストを把握しておくことが重要です。
サポート面では、社内で使うデバイスやシステムなどは1社のメーカーで揃える方が一般的には合理的とされています。その方が、製品同士の互換性も高くメーカーのトレーニングやサポートも統一できます。たとえばBose Professionalでは、小規模から中規模の会議室に適したVideobar VB1のようなオールインWEB会議用デバイスをご用意しています。より大型の会議スペースでは、ControlSpace Designerソフトウェア、EdgeMaxスピーカー、ControlSpace EX音声会議用プロセッサーといった統合型ソリューション向けの製品ラインナップもあります。