近年、ハイブリッドワークの増加によるビデオ会議環境の劇的な変化に伴い、より多くのオンライン会議に対応できるデータ需要はかつてないほどに高まっています。
ライブのビデオ会議は、リアルタイムで絶え間なくデータパケットが転送されるため膨大な負荷が発生します。音声と映像を一定の品質で通信するには、パケットが適切な順番ですばやく送受信されなければなりません。しかし、ビデオ会議の「リアルタイム」という側面が、ネットワークに対して大きな負荷になります。ストリーミング再生の映像や音声とは違い、リアルタイム通信ではパケット損失やジッターによる品質低下、音途切れなどををカバーするバッファがないからです。
ZoomやMicrosoft Teamsなど、ほとんどのクラウドベースのユニファイドコミュニケーションツールには、通話の品質不良を追跡できるデータや分析ツールが用意されています。また、外部のソリューションなどでも、マルチベンダー環境の各パートごと同時に状況を確認できます。
このように、遅延やパケット損失、ジッターの情報を把握できれば、対応策としてTCPアクセラレーションやCIFSアクセラレーションを使用するなどさまざまな方法で問題に対処できます。パケット損失の一般的な解決策としては、ダイナミックパスコントロールを使用してパケットが最も効率的なパスを通り、必要なときに必要な場所に到達できるようにすることです。
また、データネットワークでは、帯域の割当プロトコルを確立し、データトラフィックのストリームごとに重要度を階層化することもできます。組織のローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を使用して、最も頻繁に使用されるビデオ会議プラットフォームのトラフィックを最優先に設定します。そうすることで、他のトラフィックに占有されることなく、高品質な音声・ビデオ通話に必要な帯域幅を確保しておくことができます。
さらに、サービス品質(QoS)ポリシーの設計も、現代のネットワーク構築における重要な要素です。LANアクセスポイントを始めとして、アプリケーションのパケットにタグを付けることでネットワーク上のデバイスの出入りに優先順位を付けることができます。
ネットワークスライシングも、ビデオ会議で安定した通信を確保する方法の1つです。この方法では、トラフィックストリームを分離して、互いの負荷や不具合が干渉しないようにしたり、他の用途に必要な帯域幅を使用しないようにすることが可能です。スライシングは各ストリームに必要なネットワーク容量を割り当てることができるため、コストをかけて広い帯域幅を常に確保しておく必要がなくなります。
また、大規模な障害が発生した場合には、ビデオ通話が完全に使えなくなる状態を防ぐ応急措置の1つとして、オーバーライドを実行しビデオ品質のレベルを720pまたは360pに下げて対応することができます。また、個々のユーザー側でもとれる対策として、不要なデバイスを外す・コンピューターに負荷をかけているアプリケーションを終了するなどで、状況を改善できます。
こうしたヒントを実行すれば、スムーズに使えるネットワーク環境を保証でき、障害の発生を防いで常に最高のパフォーマンスを実現できます。さらに、適切なビデオ会議用デバイスを導入することで、従業員がどこにいても同じ部屋にいるかのような一体感のあるコラボレーションをサポートすることができます。