BYOMとは完全な接続性を意味します。BYOM環境では、従業員は会議室に持ち込む個人用のデバイスで会議室の設備に接続して操作ができるため、ユーザー主体のパーソナライズされた体験が得られます。ハイブリッドな働き方モデルでは、従業員は自分のデバイスを使用して自宅やオフィスで作業を進めることができます。また、同僚をセッションに招待し、どこでもコラボレーションできるため、効率と生産性を維持できます。
そのため従業員のための安全なBYOM環境を確保することが、この生産性を維持するために不可欠になります。従業員と連携してセキュリティ関連の適切なツールや知識、リソースを提供することで、従業員のデバイスと会社の情報を保護できます。
調査によると、パンデミック以前でも67%の従業員は自分のデバイスで仕事をしていました。そうした従業員が会社にもたらす付加価値は年間350ドルに達しています。これらの数字は、デバイスの携帯性が向上し、日常生活のどこでも活用できるようになったことで、明らかに増加しています。BYOMはこの傾向を次のレベルに引き上げ、より多くの従業員が自分のデバイスで仕事をできるようになります。
BYOM戦略の数多くのメリットの1つが仕事の効率アップです。従業員は慣れ親しんだデバイスを仕事で容易に使用できます。その結果、ビデオ会議の有用性が高まります。ハイブリッド会議環境やハドルルームでも、従業員のコラボレーション能力が強化されるからです。
同僚と社会的につながることで満足度が高まり、対面での交流なしで1年以上働いてきた従業員の間にもコミュニティが生まれます。大量退職時代や離職率の高い時代には、BYOMが転職のきっかけとなる不満や離反の低減に貢献します。
BYOM環境では、多くの従業員が常時携帯する個人用デバイスで通知を受け取るため、コミュニケーションも改善されます。特に、コンピューターから長時間離れなければならない製造現場などで重要な情報を受信する必要がある場合は、BYOMが効果的です。
このように個人やチームレベルのコミュニケーション、コラボレーション、仕事への満足度を高める効果があるBYOMモデルには、人材獲得の範囲を拡大できるメリットもあります。BYOMを導入することで、組織は人材をどこからでも採用できるようになり、そうした人材をコラボレーションに適した効率なワークフローに容易に組み込むことができます。その結果、労働市場にパワフルかつ幅広くアプローチすることができ、定着率を高めることができます。
マイクロ分散型チームモデルへの移行を決断した企業は、全員に本拠地と同じコラボレーション機会を提供したいと考えています。そのため、必然的にIT部門やユニファイドコミュニケーションスタッフへの要求が多くなります。ガートナーの報告によると、こうした動きは、ここ2年から5年の間にオンプレミスおよびクラウドベースのツールで加速している変化だということです。ITディレクター、マネージャー、担当者は、こうした動きに備えて、デジタル活動をサポートするスタッフのオンボーディングとトレーニングを進める必要があります。
また、IT担当者は、こうした移行を進める中で、パブリッククラウドテクノロジーへの支出が2021年末までに26%以上増加するというガートナーの予測も考慮しなければなりません。クラウド全体でコラボレーションに適したつながりを確立することで、ハイブリッド型やBYOM型の労働モデルが促進されます。つまり、現段階で適切なクラウドテクノロジーを構築しておけば、将来的なBYOMモデルに役立つ可能性があります。BYOM機能の強化に関するその他の要件としては、VPN範囲を拡張したり、UC会議およびコラボレーションツールの導入を拡大して従業員に多様なオプションを提供することなどが挙げられます。
強固なBYOM文化を築く第一歩は、コラボレーションツールを使用するメリットをITチームがスタッフに周知することです。さらに、IT担当者は、従業員が個人用デバイスを安全かつ効率的に接続するためのツールとビデオ会議テクノロジーを導入する必要があります。従業員がスマートフォンから音量や画面位置の調整やズームを行うことができ、スマートフォンをスピーカーとして接続できる会議ツールを用意することで、従業員の全体的なBYOM体験を強化できます。