セレブリティ・シアター(アリゾナ州フェニックス)

新しいラインアレイシステムの設置の際に考慮すべき一般的な課題は数多く存在します。セレブリティ・シアターは、こうした一般的な課題に加え、パフォーマンス中に回転するステージという特殊な課題を抱えていました。

1964年、アリゾナ州フェニックスに建造されたこの歴史的な劇場では、54年におよぶ操業で、建物の内外を問わずイノベーションと改装が繰り返されてきました。そして、今や象徴となった回転するステージには名だたるアーティストが絶えず出演しており、ジョージ・カーリン、ジョー・コッカー、ダイアナ・ロス、レイナード・スキナード、デビッド・ボウイ、フリートウッド・マックなどがそこに名を連ねています。

観客に特別な体験を提供することが、劇場の創業当時からの使命でした。会場の客席は、ステージから約21 m以内にある2,650席のみ。ここでのパフォーマンスは、観客にとっては、ステージのすぐ近くでエンターテイメントを体験する、他では味わえない希少な機会なのです。

そのため、セレブリティ・シアターの最近の改装(サウンドシステムのアップグレード)に対しても、完璧を期す必要がありました。空間の特殊な音響課題に対応し、著名なアーティストやそのサウンドエンジニアの厳しい期待を満たすとともに、セレブリティ・シアターに足を運ぶ観客が期待する世界レベルの体験を実現する、劇場とシームレスに溶け込むサウンドシステムが必要でした。

Bose ShowMatch DeltaQラインアレイシステムが国中のさまざまな音楽フェスティバルツアーで展開され、信頼性を証明されていたことで、セレブリティ・シアターでもBose ShowMatchシステムの採用を決定し、2018年7月に設置されました。

システムが設置されてから初となるパフォーマンスは、トニー・ベネットがツアーに来ていた8月上旬に行われました。

24年間トニー・ベネットのサウンドエンジニアを務めるトム・ヤング氏は、感銘を受けたと話します。「ボーズのシステムは、この劇場のために完璧に設計されていました。これまでにも多くの円形の劇場を担当してきましたが、その際問題になりがちな、キャビネットの後ろからの音漏れが最小限に抑えられていました。特にミックスをしているときに気付きました。ベーシストが弓を使って演奏する際の低域のレスポンスが素晴らしく、音色的にも反応が抜群なのです」

部屋の後方に平面の壁がある通常の会場と違い、セレブリティ・シアターではステージをとり囲むように曲線状の壁があります。その上、天井はドーム状になっています。こうした独特な構造が、ライブサウンドにおける特殊な課題の原因になっています。

他の会場でも前方から後方まで一貫したSPLを実現することは重要ですが、この場合、サウンドが天井のドーム部に向かってしまう恐れがあるため、カバレージパターンの制御が絶対的に不可欠でした。セレブリティ・シアターでのShowMatchシステムの導入の決め手は、DeltaQ機能でした。この機能により、各アレイモジュールの指向性(Q)をリスニングエリアに適合させることができます。つまり、観客により多くのサウンドを向けることができ、壁や床に向かうサウンドをより抑えることができます。

劇場の新しいサウンドシステムは、メインアレイ用の3つのボックスとディレイリング用の8つの3ボックスアレイ(合計48台のShowMatchモジュールスピーカー)からなる、8組のShowMatchメインアレイで構成されています。

これらのアレイは、3台ずつ2層に配置された24台のBose RoomMatch SMS118 VLFサブウーファーによって強化されています。各アレイはカーディオイドアレイに格納され、ステージの四隅に配置されています。バルコニーVIP座席エリアには、6基のBose RoomMatch Utility RMU208スピーカーを配置。システム全体は、ControlSpace ESP1280C series engineered sound processorで制御し、32台のBose PowerMatch 8500Nアンプで駆動します。これらは1台で8チャンネルまでの非圧縮デジタルオーディオに対応するBose AmpLinkカードで接続されており、すべてのデバイスにデイジーチェーン接続されています。

セレブリティ・シアターのモットーは、「場所には魂が宿る」。それを、劇場が体現しているのです。50年以上の歴史を誇る劇場は、パフォーマンスの中心となるステージにアップグレードされたサウンドを得た今、この先もずっと、観客に特別な体験を提供してくれることでしょう。