概要
その歴史の中で、このような宗教的意義のある建物が、地域社会や参拝者、そして年間5万人を超える訪問者に奉仕し続けることができるようにするために3度の大規模な改修を実施してきました。ゴシックリバイバル様式の教会は、長さ約84 m、幅約35 mの伝統的なラテン十字の形状で作られています。教会は、1992年にマイナーバシリカに指定され、44の大型のステンドグラス窓、114の実物大の聖人たちの肖像、そして106の小さなシーンで装飾されています。感動的な公共体験を提供するためには、この空間の荘厳な雰囲気を損なうことなく、環境をさらなる高みへと導くオーディオソリューションが不可欠です。そして聖心大聖堂は、新たなソリューションを必要としていました。
この歴史的建造物の空間や、使用されている素材の特性により、残響が平均4秒と長く、オーディオの明瞭性が極めて低かったため、大聖堂から放送センターに送信するオーディオシステムを改善する必要がありました。こうした理由から、オーディオのアップグレードは、サウンドシステムの大規模なオーバーホールへと発展しました。礼拝の規模にかかわらず、クリアで明瞭なオーディオを、初めて大聖堂で実現するためです。また、離れたロフトセクションにいる聖歌隊の声を収音できるシステムも必要としていました。
2019年、大聖堂のサウンドシステムの定義とアップグレードを行うプロジェクトのデザインコンサルタントとしてDSH Audio Visionsが迎えられました。このアップグレードにより、Notre Dame Studiosはさまざまな規模の礼拝を配信できるようになり、友愛のメッセージをクリアに届けて、現実環境とバーチャル環境の両方で充実した体験を提供できるようになりました。また、DSH Audio Visionsが指定したBose Professionalのシステムにより、Notre Dame Studiosのチームは、放送に適したオーディオ体験と大聖堂でのライブに適したオーディオ体験を適切に組みあわせて提供することも可能になりました。
聖心大聖堂のような残響の多いスペースでは、デジタル制御によるビームステアリングが可能なBose MSA12Xパワードスピーカーがその真価を発揮します。大聖堂のビジョンを実現するための音質とクリアなサウンドを提供する、140年の歴史を誇る場所に相応しいソリューションです。MSA12Xスピーカーは外部アンプを必要とせず、1本、2本スタック、3本スタックを組み合わせて使用することで、空間内のどの場所でも、大聖堂が求めていたオーディオ性能を提供しています。主身廊では3本スタックのMSA12Xスピーカーを採用し、袖廊ではそれぞれ後ろ向きに1本ずつ設置されています。さらに、2本スタックが祭壇後方に向けて設置され、聖母礼拝堂にも1本設置されています。聖堂内は複雑な形状をしており、各所でさまざまな礼拝を行っていたため、信徒がどこに座っていても、それぞれの場所で効率的に機能するサウンドシステムが求められていました。
当初、チームは大聖堂内の柱と、それらの柱が引き起こす音響の「影」について懸念していました。この懸念に対処するため、ボーズのソリューションは、柱のユニークな特性を考慮したものになっています。大聖堂の歴史的な内装や雰囲気を維持し、過度に目立つオーディオ機器でこれらを損なわないようにすることが不可欠でした。Bose Modeler Sound System Softwareを使用することにより、DSH Audio VisionsはBose Professionalのオーディオソリューションを最適にカスタマイズすることができました。現在、大聖堂は、実際に参列する参加者とバーチャルでの礼拝者に、オーディオとビデオを使用して同じ感動的な体験を提供しています。信徒が座っている場所にかかわらず、聖母礼拝堂においても、約60 mも離れたところにいる聖歌隊が、まるですぐ隣で歌っているかのように聴こえます。
パートナー: DSH Audio Visions